子ゴキブリ発見!の巻

ある夜のことだ。私はシャワーを浴びてふとんにゴロンと寝転んで一息ついていた。何気無く天井を見上げると小さく細長いおよそ一センチ大の黒いものが目に入った。最初はほこりが溜ったのかと思い気にとめなかったが、まじまじと見てみると子供ゴキブリである。一瞬「ウッ!」とは思ったが相手は子供、さして怖くない。前のマンションでは大人ゴキブリが天井に居り、なおかつ途中で片方の手足がパッと離れ、もう片方の手足だけでぶらさがっていた。あの時はいつ飛んでくるか解らない恐怖に恐れおののいたものだ。 まあそれに比べればさして怖くはないが、かといって頭上に子ゴキブリが居るのにすやすや寝れるほど私の肝はすわっていない。退治することにした。 私はホウキを手にとり、エイッとやった。すると私の布団の枕もとにポトリと落ちた。私はすぐさまティッシュをとり、掴もうとしたその瞬間、すでにヤツはいなかった。布団をめくり、辺りをくまなく探したがみつからない。こういう時のゴキブリはホント、どこにひそんでいるのだろう。 まあ、みつからないものはしょうがない。所詮ゴキブリなどあまり出
没してないだけで台所の辺りにごっそりいるのかもしれん。気にしないで寝ることにした。 そして朝がきた。私はムックリと起きてたばこに火をつけた。しばらくボーッとしていて、何気無く枕元をみるとナント!昨夜の子ゴキブリがいるではないか!その時、本当に「オハヨー!」と言われたような気になった。一晩枕元にいたのがは定かではないが、以外にも気持ち悪いというよりなんかカワイイと思ってしまった。添い寝しててくれたんだね、、、(成虫だったらこうもいかないだろう。)私はティッシュで彼を軽くつまみ、窓から投げた。これくらいでは死なないだろう。昨夜殺さなくて良かったなあ、とすこやかな気分で家を出た。今、私はひそかにゴキブリの恩返しなるものを期待している。